テープ起こしをおこなう各業者・会社は、原稿を作成するにあたってそれぞれ独自の表記ルールを持っているようです。
例えば同じテープ起こしの会社にテープ起こしを何回か作業を依頼して、納品のたびに原稿表記に違いがあったりしたら困りますよね。
テープ起こしの会社には、作業スタッフもたくさんいることでしょうし、毎回同じ担当者が作業をするとも考えにくいので、表記ルールが統一されていないと収拾がつかなくなるんじゃないかと思います。
実際に依頼する際は、原稿表記のルールがきちんと決まっており、読みやすい原稿を納品してくれるテープ起こし会社を選びたいものです。
もしテープ起こしを依頼するときに、会社、所属機関の独自の表記ルールがある場合、サンプルやルールブック、資料等を具体的に示した上で、その表記ルールに則り原稿を作成してくれるテープ起こし会社もあります。
クライアントによっては、漢字や仮名の使い方や句読点、段落の分け方など、特殊な表記が必要なところもあります。内容にもよりますが、作業料金は通常料金にプラスして追加料金が発生する場合もありますし、無料で引き受けてくれる業者もあります。
基本的にテープ起こし原稿は、ほとんどワードファイルで作成されるようですが、例えばエクセルファイルやワード以外のテキストファイルでの作成もしてもらえます。
会話の分析に使われる案件で、原稿をエクセルファイルに作成して、発言ごとにタイムコードを入れ、間や笑い等のすべてを落とさずに起こすなんていうオーダーもあるそうです。
確かにそういった形の方が、ワードファイルで原稿を作成したほうが、分析には効率的だと思います。イレギュラーなオーダーでも、無理なんじゃないか?と諦めずに、まず問い合わせてみましょう。
テープ起こし業者のルールとは?
多くのテープ起こし会社は、表記に際して共同通信社が出版している「記者ハンドブック」という本に準拠して原稿を作成しているようです。1956年に初版が発行された記者ハンドブックはそれ以来、新聞社や出版社をはじめ、多くのマスコミ関係者の間で原稿作成のバイブルとして愛されている本です。
記者が記事等を書くときに、読者に分かりやすくやさしい文章、言葉で書く、できるだけ統一した基準を守る、という理念で作られているそうです。それがテープ起こしにもぴったりだということで、いつしか広く使われるようになったそうです。
記者ハンドブックはハンディサイズで辞書のような体裁になっており、五十音順の索引があります。「用字用語集」、「漢字表」や「洋数字表記」等の項目は、専門的な漢字や用語、外来語の表記を確認するのにとても便利です。
「誤りやすい用事・慣用句」「紛らわしい法令関連用語」「運動用語」「病名・身体諸器官」等、読み物としても興味深いコンテンツがあります。「取り付く暇もない」(誤)→「取り付く島もない」(正)など、間違いやすい慣用句もたくさん載っていて勉強になります。紛らわしい会社名という親切な項目もあり、アメリカン・エクスプレス(誤)→アメリカン・エキスプレス(正)、ドンキホーテ(誤)→ドン・キホーテ(正)など細かいですが、間違えて表記してしまいそうな会社の具体的な社名も出ています。この本はテープ起こし業者じゃなくても、普通に読み物としても面白い勉強になる一冊です。